=郡山宿=
(福島県郡山市) |
今では福島県1,2を争う都市で宿泊のホテルも充実していますが、この頃の郡山は宿場町としてまだ整っていなかったようです。
残念ながら曽良のメモには「宿ムサカリシ」と記されてしまいました。
=幻の花かつみをさがして=
郡山から歌枕の安積山に向かい古歌によく詠まれる「花かつみ」をさがそうと芭蕉さんと曽良さんは必死になってさがしました。
「等窮が宅を出て、五里計桧皮の宿を離れてあさか山有。路より近し。此あたり沼多し。かつみ刈比もやゝ近うなれば、いづれの草を花かつみとは云ぞと人〃に尋侍れども、更知人なし。
沼を尋、人にとひ、かつみかつみと尋ありきて日は山の端にかゝりぬ。二本松より右にきれて、黒塚の岩屋一見し、福嶋に宿る。」
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等窮さんの家を出て五里ほどの日和田の宿のはずれに安積山があります。
このあたりには沼が多く、歌に詠まれるかつみという花を探そうしましたがどれがかつみなのかわかりません。いろんな人に聞いてまわりましたが誰一人知る人はいませんでした。
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安積山公園 |
沼に行って、かつみ、かつみと聞き廻りましたが、とうとう日が暮れかかってしまったのでしょうがなく探すのをあきらめたようです。 |
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日和田から安積山へむかう街道沿いには松並木の名残が残っています。
そして日和田から高倉あたりまで、左手の田園風景の向こうには安達太良山が旅の友。 |
二本松に向かう途中には、阿武隈川に白鳥の飛来地があります。
ちょうど私が行ったときには来ていました。
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日和田あたりの松並木の名残(上)
街道の松の向こうに安達太良山。(左)
阿武隈川(本宮近辺)の白鳥。(右)
(信夫山近辺にも飛来しています。) |
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芭蕉さんたちは二本松から右に入った黒塚という岩屋をちょっと見物して、その日は福島の宿に泊まりました。
花かつみ
花かつみとは古今和歌集に「陸奥の安積の沼の花がつみかつ見る人に来いひやわたらむ」と歌われ安積の花かつみが有名になりました。
あやめの一種らしいのですが諸説が一致していなく、未だに特定はされていないようです。
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ちなみに郡山市では、昭和49年、郡山市制施行50年を記念し、ヒメシャガを「ハナカツミ」として市の花に制定しました。
この花は、アヤメ科の淡い紫の小さな花を咲かせる可憐な花です。 |
黒塚の岩屋
「安達ヶ原の鬼婆」の舞台となった場所。仕える姫君の病のため、若い妊婦を実の娘と知らず殺してしまった乳母が、狂う鬼となり旅人を襲う恐ろしい鬼婆と化してしまったという伝説があります。
私が行った時は何故か受付が閉められていては入れませんでした。とりあえず先を急ぎました。 |
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とりあえず入り口だけ撮ってきました。 |
芭蕉さんもチョットみただけっだったようですから。あしからず! |
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=福島界隈(しのぶの里)=
(福島県福島市)
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JRの福島駅前でも芭蕉さんと曽良さんが迎えてくれます。
福島東口駅前広場に遠慮がちに小さな二人の像は建っています。
(駅前の信号の横断歩道のところです。)
そこから信夫山を横目に、4号バイパス沿いのJRA福島競馬場を通り越し阿武隈川を渡っていくと伝説の石「文知摺石」があります。
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ここも歌に多く詠まれる歌枕の地なのでもちろん芭蕉さんも立ち寄って句を読んでいます。 |
「あくれバ、しのぶもぢ摺の石を尋て、忍ぶのさとに行。遥山陰の小里に石半土に埋てあり。里の童部の來りて教ける。昔ハ此山の上に侍しを、往來の人の麥草をあらして、此石を試侍をにくみて、此谷につき落せバ、石の面下ざまにふしたりと云。
さもあるべき事にや。」
翌日は、しのぶもじ摺石を見にしのぶの里に行きました。
遥かに離れた山陰の小さな里に、土に半分ほど埋もれてしまったもじ摺石ありました。
里の子供たちがやって来て「昔はこの山の上にありましたが行きかう人が麦をとってはたたけを荒らし、この石に摺りつけて言い伝えを試すのです。それに困ってこの土地の人達が石をこの谷に突き落としたところ石の表が下になってしまいました。」と教えてくれました。
そして一句呼んでいます。
”早苗とる手もとや昔しのぶ摺”
”田植えをしている手つきを見ると、昔もこのような手つきでしのぶ文字摺を摺りだしていたのかとしのばれる”
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文知摺石(鏡石 福島県福島市)
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かつて都人に珍重され、一世を風靡したと言われる「文知摺絹」。
「文知摺絹」のみだれ模様が心の乱れを表す歌枕「しのぶもちづり」、「しのぶずり」として広く歌の世界で用いられています。
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文知摺絹は石の表面の凹凸を利用し忍ぶ草を布にこすりつけの模様を摺りだす。
文知摺石とは、版画でいえば木版の役目をした石のこと。
子供たちが言っていた伝説とは「昔、愛する人と別れ離れになってしまった娘が文知摺石を麦草で鏡のようになるまで磨き、愛する人の姿を映し出すことができた。」という話です。
文知摺(もじずり)観音 福島市指定 史跡名勝
境内には、「文知摺石」や芭蕉の像・句碑、ほか沢庵和尚、正岡子規などの句も残されています。
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寺の入口に立つ芭蕉さん |
「早苗とる・・」の句碑入って正面の小高いところにあります。 |
二層になっている多宝塔。 |
信夫山公園
福島市のシンボルとして古くから親しまれている信夫山。
「信夫山公園」として開園したのは明治26年、福島の都市公園第1号です。
園内には、しのぶの里を一望できる展望台、自然散策路、アスレチックなどさまざまな施設があります。春は桜の名所として知られています。
写真のあたりには白鳥も飛来します。 |
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阿武隈川沿いから信夫山を臨む |
アクセス:JR福島駅から福島交通バス(市内循環)で「福島テレビ」下車、徒歩10分
岩谷観音
徳川時代につくられた岩谷の磨崖仏。
かなり風化したり触られたりで痛んでしまって、顔が見えなくなっているものが多いですが、霊場という感じが漂っています。
大きなものはありませんが、岩に直接彫られた観音様の数実に60体。
急な石段を登るとすぐに出迎えてくれます。 |
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アクセス: 福島駅東口15分→「岩谷下(いわやした)」下車→徒歩10分
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